2007年06月13日
『日本経済のリスク・プレミアム』山口勝業
『内藤忍の資産設計塾(実践編)』にヒストリカルデータを提供していたのがイボットソン・アソシエイツ・ジャパンで、『日本経済のリスク・プレミアム』の著者である山口勝業氏はその社長です。「ファイナンス業界の黒幕(大ボス)登場!」といった雰囲気ですが、本書のカバーに記されたプロフィールによれば、「大学時代は社会学と社会心理学を専攻し、シンガー・ソングライターをめざすが、就職面接前日の新人コンテストで敗退して日本長期信用銀行に就職」とずいぶんファンキーなおっさんです。とはいえ長銀時代にMBA留学し、日米両国でファンドマネージャーの実務経験があるなど、実務とアカデミックな面の両方に精通した人のようです。
本書の内容は、日本の株価、金利、為替の長期データから、リスク・プレミアムを定量的に検証したものです。その中でもっとも衝撃を受けたのは、日本の株式について「わが国では70年代半ば以降30年間にわたって、サプライサイドから推計したリスクプレミアムはほぼゼロであった」と結論づけている点です。つまり、投資家にとっては「失われた10年」ではなく「失われた30年」であり、株式なんぞに手を出しても、長期国債のような無リスク資産以上のリターンを見込めない時代が、2003年まで続いていたということです。
もちろん、2003年からのリバウンド局面や、2005年の大幅上昇もあったわけですが、これが日本経済の構造変化を示すのか、それとも単なるリバウンドやボックス内の循環局面なのかは予断を許さないところです。
気軽に読むには定価が高めの本ですが、業種要因を除いたバリュー株・小型株のリスク・プレミアム検証など、興味深い内容がぎっしり詰まっています(本書の元になったレポートの一部は、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンのサイトで公開されています)。今年読んだ本の中ではいまのところベストです。
リンク:
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
わが国産業の株式期待リターンのサプライサイド推計(PDF)
東洋経済新報社 (2007/03)
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